当院の明子外来には私より年上の”もと障がい児”、今は素敵な?中高年になられた方もたくさんいらっしゃいます。そういう方に付き添われるのは、たいていは施設の職員さんやケースワーカーさんですが、先日はピシッと背筋の伸びたお母様が、私よりかなり年長の自閉症のお子さんに付き添って来院されました。
自閉症が”脳の器質的な疾患”と認識されたのはさほど前のことではありません。”親の育て方が原因”などといわれ、しかも社会的資源は乏しいなかの子育て…。この方は、私の人生より長い期間を今より厳しい環境のなか、”障がい児の母”として、決して子どもの幸せをあきらめることなく前を向いて生きてこられたんだと思うと、尊敬の二文字が浮かぶばかり。そして現在は、そのお母様世代が勝ち取った公的資源も使いながら、ご自宅&グループホームでの生活をうまくマネージメントされていらっしゃいました。
もう一件(一犬?)は日本介助犬協会(当院に募金箱を設置させていただき、たくさんのご寄附をいただいております<(_ _)>)のPR犬ちゃん!たまたま近所のお家にやってきたのです♡介助犬にはなれなかったワンコですが、ボランティアとなったご家族に可愛がられながら彼女なりのお仕事をしていくのでしょう。私はこの日本介助犬協会(よくにた協会がいくつもありますのでご注意を…)の本拠地、愛知県のシンシアの丘の見学にも伺いました。介助犬を利用されている方にもお会いし”人の自立”についてはその時あらためて考えさせられました。http://s-dog.or.jp/
”人には頼みにくいことも、犬には頼める”(たとえば深夜に帰宅して、汚れた靴下を脱がせてもらうことなど)と伺ったときのなるほど!という想いが…。介助者がいることは必要だけれど、介助を受けることは楽しくない場合の方が、人の感情として自然と言う部分もあるのでしょう。
障がい児の親として果たすべき役割、すべてが自分でマネージメントできない子との子離れ。私にとっても猶予のない問題が迫ってくる中、また良いタイミングでの素敵な出会いがたくさんあったな~と感じます。”何もかもができる”ようになることでなく、”自己決定権””人としての尊厳”を実現するために必要なことを考えていかなくてはいけませんね。私の長男も間もなく22歳。彼は生活すべてを自分ですることはできない…。でも何でも人(どんな素晴らしい介助者であっても)にやってもらえれば良いとは感じていないのです。親がそばにいて、できるうちはなんでもやってあげたいという私の気持ちをコントロールするべき時期が来てるかもしれない…。日本介助犬協会のワンコをなでながら(散歩中、強引に玄関に引き入れました^^;犬好きです)思いを巡らせた次第です。
