ようやく天気も落ち着き気持ちの良い11月スタートの横浜です。
野のすみれの地元の作業所に嘱託医という立場で関わっています。4か所の生活介護型作業所(比較的重度な障害の方が通っています)を運営されているかれんです。
“アート”に関わる作業所です。私も月一回伺うのが楽しみ。黙々とだったりわいわいとだったり、そこもいろいろです。アートをやってるっていうと、障がいはあるけど特別な才能があるひとがやってると思う方もいらっしゃると思いますが、そんなこともありません。(まあ、ある意味、人はみな一人一人“特別な才能”を持っているのではありますが。)
作業所の職員さんも、アートや手作りが好きな人が多いんだと思います。ミシンが上手な方、工作が好きな方、利用者さんの制作のバックアップをされています。
いろんなことをなさっていますが、ファブリック好きの私がいつも胸キュンになるには“織り”。さおり織りってこの業界ではメジャーかと思いますが、さおり織りをすいすい織る方はあんまりいない。職員さんそれぞれの工夫で小さい織りをやっています。昨年の春のコロナ自粛では自宅待機も多く、家での過ごしがみなさん難しかった。その際に、職員さんが段ボールや、空き箱などを使った小さい織り機を作ってみなさん持ち帰りました。そもそも小さい織り機なので、出来上がるものはすごく小さいんですが、それを職員さんのアイデアでブローチになったり、お財布になったり、組み合わせて敷物になったり、愛らしい製品が増えました。
先日、重度知的障害のお嬢さんが、すいすい作業をしているところに遭遇。前作業所はうまくいかず移動して、半年以上かかったようですが、職員さんが張った6本の経糸、これも赤青交互になっていて同じ色をすくえば交互にすくえる工夫あり、に毛糸のとじ針にくくりつけた横糸を上手にくぐらせていました。職員さんと話してみると、この方は経糸が8本になるとわからなくなっちゃうみたいで、6本のうち3本すくってひっくり返してまた3本がいいみたいなんです。リズムですくってるみたいで、と。お~素晴らしい観察眼!3拍子の人なんですね!って感動してお返事すると照れ笑いされていたけど、作業療法士さんのような腕前です!では、と思い、他の利用者さんのことも聴いてみると、この方はぐっと横糸を引っ張りたいみたいなんで縦糸は二本どりにしているとか、障害の重い軽いだけでなく、本人の好み、感覚を大事に作業をカスタマイズされていることがわかり感動。また、縦糸に上手く横糸をくぐらせられなかったり、その日の気分でぐるぐる巻き、これけっこう楽しそう♡ぐるぐる巻きって楽しいですよね!、をしている人にはそのまま。太くなって縄のようになったものもまた美しかったです。
こっちのやり方を教え込むんではなく、それぞれの理解、感覚、好みに合う方法を支援し、出来上がったものを出来上がりの風合いにあわせて製品化する…素敵だなと感じます。
“アート”というそれぞれ違っていい分野だから成立しやすい話なのかもしれません。コロナ禍でアートの存在価値についてまたいろんな意見が出ているけれど、画一でなくていいって部分が人間社会にはとっても必要。整えきってないもの、感性に忠実に作られたものだから愛おしく思えるのだと思う。仕事に行ってるはずなんだけど、学んで、そしてつい製品買っちゃってま~す!(笑)
10月は、かれんの関係から、大倉山の保護猫ちゃんが私の家に来ました♡三歳の甘えん坊です。もうひとつ、心理の世界の勉強のモチベーションのために挑戦した資格試験、公認心理師試験の合格通知が来ました。彩りの少ないコロナ禍生活の中でいちばんいい月だったかな。
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